2021. 5.13 All Advice House

2021年5月13日

テーマ:「不動産建築に関する法律相談」

不動産建築全般の法律について西村弁護士からもお話させていただきます。


ラジオネーム: レンゲちゃん さま (大阪市)

社長、まさきさん、はじめまして。先週たまたまラジオを聴いて次回は法律相談と聞いてメールさせてもらいました。5年前に念願のマイホームを買いました。最初は何もなかったのですが、2年ほど経ってから、家のあちこちで異変が起きてきました。玄関のドアが開きにくくなったり、家の壁にひびが出たり、極めつけは雨漏りが発生しました。どういうことかと工務店に問い合わせても言い訳ばっかりで、うちに責任はないと言い張ります。埒があきません。でも絶対に向こうが手抜き工事をしたんだと思います。どうすれば、相手の責任を認めさせることができますか?


石屋:マイホームを購入と言う事ですが、新築でしょうか?新築の場合は瑕疵保険に加入しているので、保険の対象となります。たぶん基礎または地盤の問題かと思います。この場合は保険を使って補修工事ができます。購入した工務店に頼まなくても違う工務店にお願いすることができます。

西村:新築住宅か中古住宅かで変わります。新築工事の場合、「住宅瑕疵(担保責任)保険」というのがあります。法律で決まっていて10年保証なので、まだ5年だったら範囲内です。保険の対象の箇所は、構造耐力上の主要な部分、雨水の浸入を防止する部分です。ざっというと、屋根、小屋組み、柱、壁、梁、筋交い、床、土台、基礎、外壁、窓など開口部、給排水管などです。業者との話が納得いかないようでしたら、各地の弁護士会で、住宅紛争処理支援センターという窓口を置いています。弁護士会が、公益財団法人から委託を受けて、調停・仲裁を受け付けていますので、まずは弁護士会への相談からやってみてください。その際、住宅瑕疵保険を使いたいといって、相談を申し込んでください。手数料は、調停1回で1万円がかかります。中古住宅の場合は、特別に保険を掛けているので無ければ、といっても掛けている人はまずいないと思いますが、中古住宅の場合は、契約書を見る必要がありますが、不動産業者から買った場合でも2年以上経っているとたぶん請求はできないと思います。業者でない一般の売主の方から中古住宅を買った場合は、契約書ではおそらく現状有姿売買と定められていて、原則、瑕疵・欠陥を主張できないようになっていることが多くて、5年も経っているケースでは無理だろうなと思います。

ラジオネーム: U-51 さま(長岡京市)

相談です。少し前に家のリフォームをしました。というのもリフォーム会社の人が突然家を訪れ無料でいいので、少し家の状態を見させてほしいといてきました。ただで家を見てくれるのならラッキーと思って家を見てもらいました。耐震が足りていないみたいなことを言われてリフォームをしたほうがいいと勧められました。うちの家は築50年。そろそろリフォームしたいなと思っていたので、いい機会なので向こうの言うままリフォームをしました。出来上がりには満足しているのですが、値段が、見積もりの何倍も請求されました。とりあえず支払いはしたのですが、友人に相談するとそれって詐欺じゃない?と言われました。石屋社長、実際の値段が見積もりの何倍もなることってありますか?


石屋:これはあり得ません。当社の場合当初の見積もりより金額が上がる場合は必ず追加工事見積もりを提示し、サインをいただくシステムになっています。このようなトラブルを避けるためです。追加の見積もり書が無く、了承もしていないのなら払う必要は有りません。かなりの悪質業者だと言えます。

西村:リフォーム工事を、訪問販売や、電話アポイントで、セールスして回る業者というのは、質の悪い業者が混じっていることが多いので、注意が必要です。追加変更代金の揉め事は、建築紛争でよくあるパターンです。詐欺だといっても、業者から、最初の見積から、途中であれもこれもと言われて追加・変更されているから代金が変わったんです、と主張してくる場合が多くて、言った言わないで、主張の食い違いが起きて、弁護士が入っても解決は大変です。いろいろと争点が出てきます。追加変更前の工事の中身や仕様はなんだったのか、追加工事や変更工事があったのか、施主は追加変更工事を依頼したのか、代金額の変更をいくらにするかについての合意はあったのか、といったことを、段階を分けて、膨大な表にして、事細かに裁判で争っているケースを、私も訴訟案件で現在も持っています。真面目な業者であれば、その都度変更内容を説明して追加変更の見積や注文書にサインしてもらうのが普通で、それができていない業者はレベルが低いわけですが、工期も押していくなかで現場監督が受けてそのまま進んでしまって追加変更の額の話が後になるというケースは決して少なくないと思います。今回のように、請求全額を払ってしまってから揉めるケースは少なくて、業者からは、いやちゃんと合意していました、だから払ってもらえたんです、といわれそうな気はします。本気で取り返しに行くと言うことであれば弁護士に相談するということになりますが、素人の方が弁護士に事情を説明して取り返しに行くというのもかなりの手間や費用はかかるでしょうね。

ラジオネーム: とんがり さま(京都市西京区)

こんにちは。オールアドバイスハウスのテーマが「建築に関する法律」ということで、私の悩みを投稿させてください。現在住んでいる分譲マンションの外壁にひびが入っているようで、去年の今頃から、雨水がしみこんでいます。築20年ほどのマンションで、住み始めて5年です。誰が誰に対しどのような請求や手続をすればいいでしょうか。住んでいる人の責任になったりするのでしょうか?


石屋:この場合は管理組合に言って補修をしていただいて下さい。建物は全員の共有物ですので直していただけます。

西村:外壁からの雨の侵入の補修は、共用部分の維持管理の範囲で、管理組合がマンションの持分権者から管理費を集めて積み立てている修繕積立金から出すことになります。

ラジオネーム: ホタテフライ さま(南丹市市)

 まさきさん、こんにちは!石屋社長の相談コーナーにメッセージです。土地の境界をめぐって、隣の家の方とトラブルになっています。家を建てたのは、こちらが後なのですが、建てる前に、特にそういった話はなく、境界合意書も交わしていません。 隣の方の気持ちも分かるのですが、今のように、家が建ってしまってから土地の境界を決めるにはどうすれば良いでしょうか。


石屋:これは結構難しい話ですね。境界のどの部分でどのようなトラブルか詳しく聞かないと回答のしようが無いです。このようなトラブルを避けるため、境界がきっちりした土地を購入される事をお勧めします。

西村:境界を決めるのは、お互いの合意で決めるのが普通です。きちんとした図面を作って後に残しておく場合は、やはり土地家屋調査士です。揉めている状態までいっているなら、土地の境界を判断するプロは土地家屋調査士なので、まず相談してみることだと思います。間に入ってもらってまとまることもあります。それでもまとまらないときには、土地家屋調査士会で調停をやってくれる制度があります。そこに持ち込んで、図面を作ってもらったり、話し合いをします。選択肢としては、法務局に筆界特定というのを申し立てる選択肢もありますが、筆界特定の申立は土地家屋調査士が就かないととても無理なので、やはりなにがベストかは土地家屋調査士に判断してもらって進めることだと思います。弁護士が相談に乗りながらそういう手続を進めることもありますけれど、裁判所で裁判まで踏み切るのは、最後の最後、だと思います。

ラジオネーム: 球戯場のゼウス さま(京都市南区)

いつも楽しく拝聴しています。お家の法律相談ということで相談させてください。私の家は裏がお寺なのですがそのお寺の敷地にある枝木が私の家の屋根までかかるほど伸びております。このままにしておいて台風などで枝木が折れて屋根を痛めないか心配です。しかし、ご住職とは親の代から折り合いが悪く、何度か剪定をお願いしたのですがなしのつぶてです。これは法律的に私が勝手に切ってもいいものでしょうか?器物損害にあたりますでしょうか?


勝手に切るのは絶対ダメです。このような場合は弁護士などのプロを立てると良いと思います。

西村:民法第233条 1 隣地の竹木の枝が境界線を越えるときは、その竹木の所有者に、その枝を切除させることができる。  2 隣地の竹木の根が境界線を越えるときは、その根を切り取ることができる。とあります。つまり、隣地の家の木の枝を勝手に切ってはいけません。こちらで切るにしても、相手の了解をとって進めないといけません。会いに行って口頭で了解をとっておいて、それを録音しておく、というのが、一番あっさりしたやり方だとは思います。隣地の方がそういった話し合いに応じないのなら、自分でできることとしては、簡易裁判所に調停申立をする、ということができます。そこで、こちらで切ってもよい、今後枝が越境してきてもこちらで切ってよい、という約束を調停で書面で取り付けておけばよいと思います。隣地の方が伐採費用は出さないと言ってきた場合に、費用までを相手に負担させようとすれば、裁判や強制執行までやるしかないですね。弁護士に裁判を依頼すると費用割れになり、弁護士費用までは相手に請求できないので、難しいところです。なお、植木が折れて隣地の家を壊した場合には、民法717条で工作物責任を問えることがあります。隣地から越境しているような枝が折れて落ちて損害が出たような場合だと、隣地が樹木という工作物について通常の安全性確保をしていないと判断されることは多いと思います。でも、台風で折れたような場合だと自然災害だ、不可抗力だ、と反論されて、責任が認められないこともあります。自分で保険をかけて、賄えるようにはしておいたほうがいいです。

ラジオネーム: キング石橋 さま(京都市山科区)

マンションの住人トラブルで困っています。私のマンションは昨年まで管理人さんが常駐していたのですがご高齢で退職され、今はダスキンさんが週に2回お掃除に来てもらっています。しかし、管理人さんがいなくなるととたんにゴミ出しルールを守らない住人が増え指定曜日以外のゴミ出しや廊下に置かれる個人の荷物、宅配BOXが常に満杯で宅配便が持ち帰りになるなどのトラブルが多発しています。そもそもこのマンション(賃貸)に決めたのも、何かトラブルがあってもすぐに管理人さんが対応してくれることが決めてで、事実この3年ほどは快適に暮らせていました。共益費も月6000円ほど払っていますので、家賃がそのままサービスが悪くなるというのは納得がいきません。これは管理会社に責任を問えるものでしょうか?私としては管理人さんの新任採用、もしくは家賃(共益費)の減額を求めたいです。ご回答宜しくお願い致します。


管理人が常駐していることを前提に借りられたのならその事を要求できるのではないかと思います。

西村:管理人・管理業者がマメにゴミ掃除してくれたり問題住民に注意してくれるマンションは入居率がよく、そうでないマンションは嫌がって退去する人が出てくるので、入居率は落ちていきます。特にカラスがゴミ袋をついばんで道路にぶちまけるトラブルが多く、管理人や管理会社がすぐに駆けつけないと、近所まで大変迷惑します。 但し、家主や管理会社に苦情を言っても、入居の時に、管理人が常駐というのが契約の条件になっているわけではない、と突き放される可能性はあります。住民の方々でいっしょになって、管理会社と粘り強く要求してみて、対応しなければ悪評が広まりますよ、大勢が出て行きますよ、といったトークで交渉をすることになるのかなと思います。

ラジオネーム: マルコ さま(宇治市)

眞崎さんグッドニュー!いつもこのコーナー聴いています!結婚して5年の私。3年前産まれた長男も保育園に入り、仕事に復帰して2馬力で頑張っています。そこで質問です。今現在住んでるアパートを引き払い、旦那氏の実家の隣にマイホームを建てる案が出ております。そこで問題が。義両親も旦那もあまり深く考えないタイプなのですが、農家の義両親が所有する土地は現在空き地ではあるものの、農地なのでは?ということ。数年前?森さんのKYOTOAIRLOUNGEの時に石屋社長が、農地を売ったり家を建てようとしたりすると、税金がかなりかかる?みたいなことをおっしゃっていたような気がするのですが、うろ覚えで…もう一度詳しく教えてもらえませんか?また、土地が農地かどうかは何を見たらわかるものでしょうか?旧家の農家で登記簿などはあげていないらしく、先述した通り大雑把な義両親と旦那なので、私がしっかりせねばと思っております…法律的にも同じ土地に建物が2つ建っていいのかも気になります。実際見に来てもらえるといいのですが、さすがに義両親に言わず進めるのも難しく、まずはラジオで相談してみようと思いました。よろしくお願いいたします!


石屋:建築の方で言いますと、一つの敷地に建物は1軒が原則です。渡り廊下などを付けて離れとして建てる事もできます。このような事をしないでも分筆をすればいいです。ただし分筆後に接道義務が満たされているか確認が必要です。土地を調べるためには謄本を確認下さい。その他地目変更など事前にするべき作業は多々あります。工務店などのプロにお願いするのがいいと思います。家を建てるのには大きな問題は無いと思います。 す。

西村:農地かどうかをチェックするのは、まずは法務局で登記簿謄本と公図をとって、その土地の地目が、田んぼか畑かを、みます。田か畑なら農地です。家を建てるなら、都道府県か市町村でその土地の農地転用の手続をしたり、地目変更登記をしておかないといけません。これは素人でやりきれることではなくて、役所の窓口で聞きながら進めるか、最後は、建築確認申請が通るかどうかの問題なので、建築業者・工務店と相談しながら進めることになります。農地の場合、地盤が弱いことが多いので、造成に費用が余分にかかると思っておいた方がよいでしょう。

ラジオネーム: わんこ さま(長野市)

人が歩くと床が揺れるのですが、良いリフォーム方法はありますか?


石屋: 床下の根太が痛んでいますね。早い目のリフォームをお勧めします。そのうち床を踏み抜いて大けがをしますよ。

西村:根太・大引(・束)のどれかが傷んでいるでしょうね。床板の下なので見えませんが、そのうち根太がおれて床板ごと踏み抜いてしまいます。床板にもぐってチェックし、床板を剥がして根太・大引を施工し直すことになるので、リフォームというよりは修繕ですね。

ラジオネーム:ゆみ さま(静岡市)

クラブハウスのような物は、だれが設計するのですか?


石屋:一級建築士です。

西村:二級建築士には、設計できる建物の規模に制限があります。木造建築物の設計なら3階建てまで。建物高さ13m、軒高9m以内。延べ面積1,000㎡以下。木造建築物以外の場合、例えばRC造、鉄骨造は高さ13m以下かつ軒高9m以下で、平屋建てから3階建て、さらに延床面積は100㎡以下。他にもいろいろ制限があります。


ラジオネーム: もーも さま(津市)

建築のとき手抜き工事を見抜くには?

簡単です。セカンドオピニオンを付けて管理していただく事です。

西村:ベストは、設計を頼むのと一緒に、一級建築士事務所に監理業務として別に依頼することで防げることが多いですが、費用が余分にかかるのと、施主の方が結局は施工業者の信頼関係を重んじて、施工業者と独立した監理業者を選ばれない方が多いです。監理業者がいるのに、それでも管理業者が間に立ってもおさめられないで紛争になる建築トラブルもあります。


ラジオネーム: アキ さま(津山市)

物置や駐車場施設、カーポートなども、建物の建蔽率に含まれる事があるそうです。建蔽率に影響させずに物置、駐車場施設、カーポートなどを建てるには、どのようにすれば良いでしょうか?

石屋:それらすべてを含めて建築確認をとれば問題ないです。自宅部分がかなり狭くなると思われますが。

西村:カーポートは建ぺい率に含まれるものと含まれないものがあります。含まれないものは、・天井の高さが2.1メートル以上ある・柱の間隔は2メートル以上である・外壁のない部分が連続して4メートル以上である・地階を除く階数が1(1階建て)であることなどで、あとはお住まいの自治体ごとに少し基準が厳しいことがありえます。新築時にカーポートを一緒に建築確認申請していれば大丈夫です。あとからカーポートを付けることに変更する場合、業者側でカーポートの建ぺい率要件のチェックが甘いことがあり、そういうカーポートを後から建ててしまうと、既存不適格建築物という扱いになって、将来の増築や用途変更などの際に支障が出ます。